2020年ナターレのレッスンのドルチェ「ビクトリア・サンドイッチ」
今年のナターレのドルチェは、英国菓子の「ビクトリア・サンドイッチ・ケーキ」、昨年あたりから巷で(おそらく)ゆるりと流行っているこの英国菓子に、イタリア愛とフランス菓子愛を込めて、クリスマスデコレーションでアレンジしてご紹介します。
〜そこまでしてなぜに英国菓子を?という疑問はさておき、やっぱり流行は押さえておかない、と。
ジェノワーズ(スポンジ)と違って、ビクトリア・スポンジにはベーキングパウダーが入るので、初心者のかたでも比較的失敗がないケーキです。問題は伝統的なレシピだとズシッと重いことなのですが、そこはちょっとモダンにアレンジして、そして、デコレーションもクリスマス仕様に!
クリームにイタリア愛を込めて、「ダブルクリーム」でも「バタークリーム」でもなく、「マスカルポーネ」でアレンジしました。
写真↑は、前日英国のツイ友にいろいろ確認してから、最初に試作した「ビクトリア・スポンジ」、縁がガタガタなのには言い訳が…本番では美しいケーキをご用意いたします。
若かりし頃イタリアに憧れてかれこれ40年以上もの時が経ちました。イタリア好きは筋金入り、イタリア料理ももちろん大好きなのですが、お菓子はやっぱりフランス菓子が一番好き。
お菓子作りに関しては洋菓子研究家の加藤千恵先生の元で学ばせて頂いたことがとても大きいと感謝していますが、加藤先生のもとでアシスタントをするようになったのはマイファーストティーチャー藤野真紀子先生からのご紹介がきっかけです。
著作本↑にもある「ビクトリア・サンドイッチ」、藤野先生のサロンで頂いたのが最初でした。もう30年以上は昔のこと…
イタリア料理教室を始めてからも15年ほどは、お菓子のクラスを別にもっていましたし、製菓に情熱がありました。途中リッツ・エスコフィエにも通ったのですが…失くしたものと思っていたリッツのディプロマが一枚だけ藤野先生の本の間から出てきました。イタリアーナの友人にも、「こういうものは額に入れて飾っておかないと」と笑われたけど、一体もう一枚はどこにいったのだろう?
★ちなみに…リッツ・エスコフィエでは、間を空けて何年か時間をかけたとしても、最低6週間、6つのコースに通ってから実技の試験を受けないと本当のディプロマは頂けません。私は2つ、タルトとアントルメのクラスを受けたというディプロマを頂いただけ。
藤野先生には「ビクトリア・サンドイッチ」と習ったけれど、日本では「ビクトリアケーキ」という呼び方が一般的ですよね。
で、英国のツイ友に、現在本場ではどう呼ぶのが一般的なのかしら?と問い合わせて。
「え〜、ビクトリアケーキが流行っているんですか?あのジャムはさんだスポンジケーキですよね?意外〜」と驚きつつも、お義母様から譲り受けたという、英国の料理の母デリア・スミスの本やネットで確認してくれました。助かりました!
「ビクトリア・サンドイッチ」「ビクトリア・スポンジ」、いずれも同じくらい聞くし使われているそうです。
調べてくれた参考資料↑、そのままサイトからお借りしちゃいましたが、英国でお菓子といえば!この方なのだそう。知らなかった。
ジャムだけ挟むのが伝統的だと言う説もあるそうですが、現在の「ビクトリア・サンドイッチ」はジャムとクリーム挟んだもののが殆どだそう。本来の見た目はだいたいこういう感じです!英国の普段のお菓子、クリスマス菓子ではありません。
思えば(アンカレッジ経由のJALで!の)初めての海外旅行@20歳は、ロンドン&パリ。一緒に行った女子校時代の友達の意向もあったし、若かりし頃ブリティッシュ・ロック一筋できた私も一度はロンドンにも行ってみたかった。
そして、アシスタントだったEちゃんが旦那様の転勤でロンドンに住むようになり、泊めてもらって、当時流行っていたリバーカフェ(=今は評判芳しくないようですが〜)に行ったり、デリアスミスの本も実は2冊ほど持っていて。
ツイ友とやり取りしていて、「私のデリアスミス本は、アーミッシュの料理本とかと一緒に遠の昔にブック・オフにいったのかも?」と思ったけれど、昔買った洋書の山、天袋から出てきました。気になったからって忙しい時期に執念で見つけ出す私もちょっとしつこいけど(苦笑)、此処で捜索かけなかったらまたしばらくは日の目も見ずに。
そうそう、試作の「ビクトリア・サンドイッチ」は、お子さんのいるイタリアーナの友人宅に持ち帰ってもらおうと思って、近くの語学学校に出勤前の彼女と久しぶりに待ち合わせたのですが…別件で家具デザイナーの友人ジュリーも午前中に来ることになり、すでに顔見知りの彼らが外人らしく(椅子があるというのに)立ってイタリア語で話をしている間に計量してケーキを焼いて。
ボウルに入れたバターの量を見て、友人は「イングレーゼ…(英国人だわね)」と。
イタリアーナの彼女はいつも私をイタリアの側に置いてくれるので、同意をもとめられたけど、パネットーネにも結構な量のバターは入っていますよね〜。
例年はご実家から届くパネットーネをおすそ分けしてもらっているのだけど、今年は新型コロナのためにイタリアからのパッコ(小包)は届きません。それでも日本で買ったイタリアと日本のパンやさんのパネットーネを二種、持ってきてくれた。
日本ではクリスマス菓子といえば「シュトーレン」がこのとこずっと安定した人気ですよね。でも、やっぱりそこだけは譲れず、イタリアのパネットーネが断然好き。せっかく本場ミラノでミラノで一番のパンやさんからパネットーネ作りを習った私もいつかはパネットーネ菌で焼いてみたい。
生徒の皆さんはご存知のように、料理学校ではびっくりしたことに「今日は失敗だ」と言って終わった(そして、案外こういうときにイタリアの皆さんは、「あぁ、失敗か」「パネットーネは難しいんだな」と怒らない)のですが、リチェッタはデリアスミスの料理本の捜索かけたお陰で再び手元にありますので!
あぁ、イタリア…このデコレーションのセンス、ある意味とてもイタリアらしいのですが、いまだにね、どんなに西洋かぶれでも、わび、さびの文化のDNA?日本人の私にはなかなか真似できなくて。
(↑料理雑誌LA CUCINA ITALIANAのサイトから今月号の表紙の写真をお借りしました)
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