マッカラン風味の紅茶のケーキ


先週はレッスンの合間に、「紅茶のケーキ」を焼きました。


私の焼き菓子を気に入ってくださっている方からのご依頼で、お悔やみ用に、亡くなった方がお好きだったというスコッチ「マッカラン」を使って。甘いリキュールのようにたっぷり加えるのは難しいのですが、生地に加えて焼き込んで、焼きあげてから温かいうちに刷毛でまた塗って。


「紅茶のケーキ」は、アシスタントとして師事した洋菓子研究家加藤千恵先生の定番の焼き菓子のひとつ、配合をほんの少しだけアレンジして、いつもはティーバッグ(=リーフが細かいのでそのまま使えます)のアールグレイを焼き込むのだけど、マッカランの香りが生きるよう、くせのない紅茶を選んでミルサーで細かく挽いて使いました。


ウィスキーは他の製菓用のリキュールよりはドライなので、香りだけを残すのにどんな焼き菓子がよいのか考えて選んだのですが、新しい学びがありました。


バターケーキの類にもメレンゲを立て過ぎないことがポイント、やわらかい角が立つくらいに。


豊洲のアオモノさんに甘えて一緒に配達して頂いているサルモネラフリーの鶏卵はいつだって新鮮、粉も国産、バターも国産発酵バターが基本です。今回はマッカランと茶葉の香りを殺さないようグラニュー糖にしましたが、いつもは焼き菓子にも喜界島のきび砂糖(=ありがたいことに毎年生徒さんに頂戴しています)で。繊細なお菓子にだけグラニュー糖を使って、教室では和食も含めて殆ど白い砂糖を使いません。


オーブンに型がふたつ入るような時には、普段は二台ぶんまとめてキッチンエイドで作るけど、バタバタした週だったこともあって、落ち着いて、気持ちを込めて作ろうと、生地も一台ずつ丁寧に。




ずいぶん前に、生徒さんの三回忌のお菓子をご用意したときも、御遺族様の許可を頂いて失礼にならない程度に自分らしくラッピングを施しました。今回も、届けてくださるかたのぶんは普段どおりに仕上げて、御霊前用もさびしくはならないように。


村上訳で有名になる前に、たまたま大学一年の英語のクラスでテキストに使っていたレイモンド・カーヴァーを原語で読みました。「大聖堂」におさめられた一編、「ささやかだけど、役に立つこと」の中で、子供を亡くした夫妻にパン屋さんが、「こんなときこそ、ものを食べることです」と励ますシーンがあるけれど、お供え頂いたあとは皆さんで召し上がって頂けたらな、と日持ちがするものを選びました。


「a small, but good thing」


どんなときも何か食べることで少し元気がでますよね。それがおいしいものならなおさら。


レッスンを終えた生徒さんにも「元気がでました」とよく言われるけれど、実は辛口な(笑)仲良しの友人J子さんも、「玉緒さんの作ったご飯を食べた翌日は、なんていうか、身体中に元気がみなぎる感じ!」と言ってくれます。レッスンメニューは小規模な大量生産だけど、流れ作業的にならないように、気持ちを込めて作っています。そこが手作りのよさかなぁと思うから。


そして、私はやっぱり美術が好きでイタリア好きになったクチなので、無駄が嫌いなわりには(ミニマムで)ギフトラッピングにこだわってしまう。目にした瞬間に受け取った方の心が少しでも動くといいな、と考えて、美しいものはやっぱり心の糧になりますよね。



焼き菓子を無事に宅急便にのせてから、夜のクラスを終えて、翌朝は気づくと花たちは元気をなくしてしまっていました。お水も替えてあげてたのだけど、蒸し暑かったですからねぇ。


湿度に弱い私も先週はちょっぴりバテましたが、ご依頼頂いたかたから、偶然にも御遺族様が昔の生徒さんでらしたと伺って、改めてご縁を感じました。ご親戚含めて家族の皆さんでお父様の思い出話をしつつ美味しく召し上がって頂けたと、田中先生にお礼を伝えてください、と仰っていたそうですが、私のほうこそ、それこそ、どんなときも、ささやかでも他人様の役に立てるのは嬉しいことです。いつも何かと助けられてばかりなので、たまには!


木曜午前クラスのかたにはテーブル花は残念なことで申し訳ありませんでしたが、時間がないときこそ創意工夫で!もはや夏のワンパターンなれど、金曜の朝はベランダのアジアンタムを使っていけ直し、レッスン週は籠の鳥の私も気分転換になりました。


この型はその昔、デビューのきっかけになったジノリ・セミナーで「赤い実のゼリー」を作るために買ったもの。焼き菓子で使うときには、きれいに型抜きできるようにバターを厚めに塗る、焼き上がりもミトンではなく軍手をはめて慎重に抜き出す、など少し注意が必要ですが、中心部からも火が通ってしっかり焼けるし、最近はもっぱら焼き菓子に使っています。


何年か前にはイタリアンのレッスンでも、「セミドライいちじく」を焼き込んだドルチェをご用意しましたね↑。


高さもあるせいか見た目より生地が入るし(=差し上げるときにはコンパクト!)、バター多めのこういうケーキに向いているかな、と思います。今日の日中は30℃超えの東京でしたが、やっぱりベーキングも楽しいな。

La Cucina Oliva di TAMAO TANAKA

南青山で楽しく学ぶ、 おもてなしイタリア料理、西洋菓子、そして和食。 家庭のキッチンでレストランに負けない美味しさが生まれる とっておきのレシピを教えます。 いつものおかずがおもてなし料理に変わる、季節の和食のレッスンも! 日々の食事やおもてなしを、もっと美味しく。

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